塾に通っていて、30点前後で卒業する生徒さんがいます。
一般的には、平均以下の点数だと「通塾の意味がない」と考える人が多いと思います。
講師も「満足して通ってもらえているのかな…」とテストの点数によって判断してしまいそうになることは多々ありますが、生徒さんの事情や通塾の目的はさまざまなのだと気づかされたことが何度かありました。
ある日、卒業した生徒さんの親御さんと出会った時のこと。
「高校に入ってから、習っていた数学が他の子よりできて、成績がいいみたいなんです。塾で教えてもらっていたからだろうと思っています。ありがとうございました」と声をかけていただきました。
思い出してみると、中学校の定期テストは30点前後だった生徒さんでした。
高校も進学校ではなく、地域の中でも偏差値は低い方の高校に入学されました。
そこで他の子よりも良い成績でがんばっていることを知って、講師自身が抱いていた固定概念に気づかされました。
塾に通うからには高得点、偏差値の高い学校に合格。
だれもが納得する宣伝文句にぴったりのイメージばかりが良いもので、みんながそれを目指していて・・・といつのまにか思っていたことに気がついたのです。
勉強もスポーツと同じで、順位をつけられるものです。
当然、トップもいれば、最下位もいます。
高校からは、普通科・商業科・工業科など専門分野での振り分けはありますが、学力による選別もあります。
『中学校から高得点、偏差値の高い進学校に合格』だけを考えるなら、中学校の上位〇名をスカウトしてくればいいわけです。
だけど、コジ塾では入塾時に点数制限や能力審査による選別をしていません。
どのレベルの子であっても、勉強に対する関心や意欲があるならば、手助けしたいという思いが根底にあるからです。
しかし、生徒数が増えてくると「点数が上がらないから」と退塾したり、他の塾からやって来たりする生徒さんたちを見る機会も増えて、(結局、点数が大事なのだ)という思考に偏りすぎて、初心を忘れていたことを思い出しました。
その生徒さんは、自分のレベルに合った所へ進学し、そこで努力を続けることで、中学校では得られなかった好成績の体験ができたのですね。
中学校のテストの点数は低かったかもしれないけれど、全く勉強をせずに同じ点数だった子よりも基礎的なことや勉強の習慣を学べていた。その手助けができて、良かったなぁと嬉しく感じた出来事でした。