今でこそ、ホームページやインスタグラムで塾や講師自身のことをオープンにしておりますが、数年前までは年に数回だけ地域の折込チラシに塾の広告を載せるのみでした。卒業生が去る時期に、新入生を募集するため年に一度っきりにしていたこともあります。
なぜか? “なんだか、知れ渡るのが怖かった” のです。
変ですよね、事業をやっていて、お客さんが必要なのに、知られたくないなんて・・・でも、本当です。
幸いにも口コミで少しずつ生徒さんも増えていましたし、最初は塾のみで食べていけなくてもいいやと思っていたというのもあります。お昼に別の仕事をしていても、夕方から夜にかけてする塾の仕事は苦ではなく、むしろ自分の裁量でいろいろと決めて運営していくことが楽しかった。生徒さんに「先生って仕事してないんですか?」と授業中にツッコまれて、「いやいや、今も仕事してるから!」って笑ったことがあります。それだけ、仕事感がなかったのでしょう。
もともと、あまり営業が好きではなく、私が塾講師をやっていると知った人に「ウチの子(または孫)が成績が悪くてね~」と相談っぽいことを言われても、「そうですかー(ニコニコニコ)」くらいにしか答えないので、肩透かしを食った人は少なからずいると思います。「入りたいんだけど」と相手の意思表示がない限り、ウチの塾に入るようススメた記憶はありません。
勉強って、生徒さん自身の意欲がないと伸びないですし、無理に勧めても、生徒さんと講師の両方にとって良いことはない(むしろ、地獄)と思っているからです。
コジ塾の体験授業を受けたあと、入らない場合は連絡不要!で、入る時は再度連絡をしてもらうシステムにしているのもそのせいです。続けるかどうか決めるための体験なのに「なんか違う、やめておきたい」と感じた時に相手にそれを伝えるのって勇気もいるし、気持ちが重くないですか?私はそうです。そして、まかりまちがって言い切れずにイヤイヤ入ってみることにされるなんて、私がイヤです(笑)。
生徒さんの能力・意欲・性格と講師の能力・情熱・性格がぶつかった時、化学反応で伸びたり、そうでなかったりするため、保証なんてありません。だからこそ、生徒さん・保護者様・講師が納得し合ってやっていく必要があると思っています。
それでも生徒数が増えてくると、ある日、生徒さんから「最近、人が増えて、もうかってるやろ?」と言われました。その時、なんだかものすご~く、違和感を感じたのです。講師はお金は大切だと思っているし、お金持ちになりたい派です!でも、そう言われて初めて「生徒が増えること=収入が増えること」ではなくて「生徒が増えること=ストレスが増えること」だと思って怯えている自分に気が付いたのです。
当たり前ですが、人が増えれば、その分さまざまな考え方に触れるようになりますよね。講師の考える勉強とは違う考えを持っている人が塾にやってきたら、きっと責められたり、無理難題を言われたりして、その対応にストレスを感じてしまうから嫌だなと思っていたのです。
最初に自ら足を棒にしてまいたチラシを見て来てくれた生徒さん第1号は、私にとって本当に素直で真面目な良い生徒さんでした。その子が呼んできてくれた生徒さんも良い子で、口コミに任せておけば、その子の性格に似たような、やる気のある生徒さんが増える可能性が高くなると思っていました。
また、自分の仕事のスキルには若い頃から自信を持っていましたが、それが見ず知らずの人の目にさらされてもOKと言えるような勇気は持ち合わせていませんでした。ウチの地域で個人で経営されている塾は多いものの、内部がわかるようなホームページを持たれているところは少なく、講師の顔出しなんてもってのほか!内部をちらっと見た結果「大胆に見せてるわりには別に大したことない」と言われたり、「え?あれって〇〇さんやん」と言われるのが恥ずかしいと感じていました。
しかし、そんな時、現在のような変化を起こす救世主が現れました。
救世主「萩市の塾って他にどんな感じなんですか?」→講師「さぁ、わかりません」
救世主「内部のことがわかった方が生徒さんも選びやすいのでは?」→講師「はぁ、そうですね」
救世主「せっかくなんで、ホームページも変えて、教室の中とか講師の顔とかも出した方がよくないですか?コジ塾ってだけじゃあ、若い女性の先生がやってる塾かどうかすらわからないし」→講師「たしかに・・・(え~、でもそれって顔出すってこと?◝(๑⁺д⁺๑)◞՞ )」
最初は顔を出すのにとても抵抗がありましたが…少しずつ慣れてきました。生徒さんもインスタグラムでいいねを競うのが楽しくなったようで、「次はいつするの?楽しみ!」と言ってくれるようになって、やってみるものだなぁと。
羞恥心も薄れてきたら、残る問題は『勉強に対する講師の考えとは異なる生徒さん』ですが、口コミ以外のチラシやホームページやSNSでコジ塾を知って来てくれた生徒さんが増えたことでわかったのは、結局は人それぞれで、差などないということでした。
振り返ってみると、講師がこれまでに一番度肝を抜かれたエピソード(当時は憤慨の域でしたが、苦笑)を持つ生徒さんは、口コミで来られた方でしたので、広告を控えて水面下で口コミだけに頼って細々とやっていても、結局は同じことだと悟ったのです。
そこで、どうせ顔もさらすなら、コジ塾講師の考え方や思想もさらそうと思うようになりました。理由は、講師の考えに共感できる生徒さんにコジ塾を選んでもらいたいからです。
小学生から通えば卒業までに9年以上も付き合っていくことになる生徒さんも出てきます。その子の学習姿勢や意欲は成長に応じて変化があって当然ですが、保護者様の考えが講師の考えに反する場合、塾と家での教えにも違いが生じて、講師の声が生徒さんの心に響くことなく終わってしまいます。保護者様の方も塾に対する要求が思ったように通らず、塾とご家庭の双方がストレスフルな日々を送ることも考えられます。それを避けるため、講師の思いをこうして綴っていき、選択の際、参考の一つにしてもらえたらと思っています。
講師も成長過程にいるため、その考え方や思想は、年齢や時代によって変化していくことでしょう。そして、未熟さゆえに、時には怒りや失望といった負の感情で表現し、批判を含むような文脈になって、読む方の心を傷つけてしまったり、反感をかってしまったりすることもあるのではないかという不安が正直に言うとあります。
しかし、コジ塾の席は1クラスに12名と限りがあります。何もせずに、出たとこ勝負で考え方を衝突させてしまうより、こちらから発信することで、共感してくれる生徒さんたちで教室がいっぱいになることを目指していこうと決めました。